博物館としての地下鉄である。 もうひとつ、すぐ近くの旧富士銀行を活用した(現在は東京芸大が入る)。
やはり重厚な古典主義の建築だが、内部の吹抜けをそのまま残しながら、ギャラリーやカフェになっていた。 金庫も展示室に変化した。
隣の大津ビルも、I田善彦ほか、幾つかの建築家の事務所が入ることで、近代建築の保存に貢献している。 ここは観光客も多い馬車道商店街であり、まわりを見渡すと、神奈川県立博物館や横浜銀行協会なれた都市的なデザインのセンスが、ここでも発揮されている。
名古屋の中心部にオアシス皿という立体型の公園がある。 設計は大林組。
場所は栄駅の近く、愛知芸術文化センターの隣である。 ビルの谷間において巨大な楕円のガラスが空中に浮かぶ。
正直に言うと、建設中は外からこの大屋根ばかりが目立ち、唐突な感じがぬぐえなかった。 どうなるだろうかと心配していた。

建築の専門誌でも、オアシス皿は建築家から酷評されている。 完成してから、実際に内部を歩いた印象は、意外に悪くないというこども目に入る。
日本火災横浜ビルは、存在を隠した建築を上部につくる黒子方式の増築を行う。 この周辺では、若尾ビル(邑誤)や、銀行の統合により売却された三菱銀行などは、アリバイ的に一部を残した開発によって消えてしまった。
実はバブル以後にも近代建築が急激に減っている。 それゆえ、横浜アイランドタワーの試みは評価したい。
水をはった空中庭園が出現した。 この高さから周囲を見渡すと、見慣れた風景が一変する。
また薄い水の膜とガラスを通過し、ゆらぐ光が下に降りそそぐ。 オアシス別は、積層された公共空間をつくり、高密度の都市を有効に活用している。
夜の照明も悪くない。 拙いデザインの部分が消え、幻想的な雰囲気が強調されるからだ。
魂だった。 もちろん、デザインはもっと洗練させる余地がある。
冠ただ、ありそうでなかった公共空間が提案されたことは評価できるのではないか。 名古屋は地下街が発達した都市である。
オアシス別も、地下から入るといい。 狭い空間から、ぱっと吹抜けの地下広場が展開する。
訪問時はイベントをやっており、多くの人でにぎわっていたが、地上のクルマに邪魔されず、大屋根のもと一体感があった。 長いスロープや階段で上にのぼる。

オアシスには便利なバスターミナルもあり、様々な交通の結節点になっている。 地上階は芝生の公園。
ガラスの大屋根にたどりつくと、商業施設が続く、栄の大津通り沿いのビルの隙間に、つい見過ごしてしまうような小さな入口がある。 のぞき込むと、二五メートルほど奥まで路地が続く。
その道には、垂直に立てた陶製のルーバーを並べ、あいだにガラスの展示ケースが幾つか浮かぶ。 思い切って足を踏み入れ、路地の突きあたりを左に曲がると、深い庇によって水平線を強調した中庭と古い蔵があらわれる。
前面道路と切り離され、喧燥の都市を忘れさせる静謡な空間。 中庭を進み、左に向かうと、透明感あふれるデザインの店舗を抜けて、再び大津通りの雑踏に戻る。
名古屋クロイゾン・スクェアは、創業一二○年の老舗、姪A藤七宝店のリニューアルによって誕生した。 設計と企画ンは竹中工務店が担当した。
建て替えにあたっては、既存の″蔵を資料庫に改修し、七宝とテナントの店舗、ギャラリー、彫カフェ、ラウンジをつくり、細長い中庭を囲む。 また以前紬の庭から石や灯篭を転用し、新しいデザインに組み込んで、七宝焼をサインや扉の装飾に用いることで、現代と伝統の感覚を巧みに共存させている。
このプロジェクトで特に興味深いのは、容積率いっぱいに建てず、あえて低層の建築としつつ、ビルに囲まれたなかで、魅力的な中庭や路地など、余白のスペースを積極的に形成していることだ。 品のいい、大人の建築である。
容積率の限界まで建ててしまう東京の開発とは、異なる都市への介入といえよう。 こうした開発のあり方が評価され、名古屋クロイゾン・スクェアは、第二回愛知まちなみ建築賞の大賞に選ばれた。

二○○四年の春、名古屋大学にN依記念物質科学研究館・学術交流館が誕生した。 ノーベル化学賞を受賞したN依良治教授の名前を冠する最先端の研究施設と国際的な交流施設だが、技術系の建築にありがちな無愛想な空間ではない。
設備の配管を内側の吹抜けに隠す一方で、正面はガラス張りとし、現代的なセンスにあふれた情報系の空間のようである。 デザインに関心をもつN依教授の意向を受けて、コンペが行われた結果、I田善彦が選ばれ、名古屋大学施設部との共同設計によって、国立大学としては意欲的な建築が実現した。
物質科学研究館は、アルファベットの文字がプリントされた、コンピュータの画面のようなガラスのファサードから、ギャラリー、ラウンジ、会議室のボリュームが突き出る印象的な外観をもつ。 よく見ると微妙に壁が湾曲しており、その線をたどると、道路を挟んで斜向かいの学術交流館の楕円のカーブにつながる。
かくして、なめらかなガラスの曲線によって、二つの離れた建物の連続性が演出されている。 空間が展開する。
物質科学研究館の七階は眺めのいと中庭を配し、屋上には緑とデッキの空間が広がる。 学術交流館は、一階に開放的なカフェ、二階に白い塊として浮かぶホール、三階に一○の住戸という興味深いプログラムから構成される。
長期滞在の外国人用の宿泊施設は、研究者の交流を促進すべく、細長い中庭を共有する。 三階のデッキを歩くと、楕円という形状のせいか客船のような雰囲気だ。

周囲は海ではなく、緑に包まれた良好な環境である。 名古屋駅から関西本線に乗って蟹江町へ・東海圏で鯛焼きやたこ焼きのチェーン店を営む葎屋本社IDEAの完成パーティに顔をだした。
夜の暗闇のなかでも、建物の美しいシルエットが感じられる。 閑静な住宅地や田んぼに囲まれた既存社屋と工場が老朽化し、その隣に新しい社屋が建設されることになり、A藤忠雄事務所出身の武藤隆が設計したもの。
作品は、師匠譲りの端正なコンクリート打ち放しの建築で、矩形の単位空間を連結させるという形式である。 設計者によれば、鯛焼きもたこ焼きも型からつくられることも意識して、空間の型を反復するという手法を採用した。
現状では、鉄骨の屋根を架けた大きなメイン・ボリュームが三つ連続しており、それらのあいだや両端にコンクリートの壁に囲まれたボックス状の小さなサブ・ボリュームが点在する。 玄関から順番にたどると、開放的なメイン・ボリュームは事務室・試食室・倉庫、閉鎖的なサブ・ボリュームはPC室・トイレ・シャワー室などを配し、リズミカルに構成する。
とてもわかりやすい。 はっきりとした左右対称の軸をもち、アメリカの建築家ルイス・カーン的な厳格さを感じさせる一方、数珠つなぎにすることで、将来の増築にも対応できるフレキシブルさを兼ねそなえているのは興味深い。
二○○五年二月一七日、愛・地球博にあわせて、中部国際空港セントレアが登場した。 オープンの一か月後に訪れたが、見学客専用の動く歩道を設けるほどのにぎわいであ実はこのプロジェクト、若手が集う名古屋建築会議のメンバーと名古屋の学生団体FLATを対象にした小さなコンペによって実現されたものである。
筆者も審査員の一人となり、二案にしぼった後、淫屋の社長とのヒアリングにより、設計者が選定された。

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